高速バスの予約と発券
鉄道なら、駅の窓口か券売機で買えばよい。飛行機だったらインターネットで予約しクレジットカードで決済して、空港でチェックインするときに支払いに用いたクレジットカードを本人確認の手段として提示すればよい。あるいは、JALと ANAなら、ICチップ入りのマイレージカードをセキュリティチェックと搭乗ゲートにかざすだけでよい。ホテルなら、単に予約だけして、確認のメールに記載された予約番号をチェックイン時に伝えればよい。いずれにせよ手軽である。これがバスだとこうは行かない。本来最も手軽であるべきバスで予約・発券が煩雑なのは残念である。
高速バスの予約・発券の一つの選択肢はインターネット上で予約してクレジットカードで決済し、乗車票をプリントアウトし、乗車時に乗車票を見せて乗るやり方である。これは便利だが、プリントアウトできる環境がないと利用できないという欠点がある。自宅や会社ならまだしも、旅先だとつらい。携帯電話で予約し、予約確認のメールを携帯電話に表示する方式なら乗車票を印刷する必要がないので便利だし、手元に携帯電話さえあれば、いつでもどこでも予約・決済できる。しかし、既存のインターネット予約システムでは、JTBの高速バス予約システムを除き、事前に会員登録する必要がある。身元を確認する意味があるのだろうが、会員登録をしていない状態で、思い立ったときに気軽に予約できないのは実に不便である。飛行機の予約なら、どのみち予約時に個人情報を入力するので、会員登録は不要だし、会員登録は、都度個人情報を入力する手間を省くための手段である。バスでも予約の都度個人情報を入力すれば会員登録が不要になるかもしれないが、そもそもたかがバスごときのために個人情報を入力する気にはなれない。もちろん、頻繁に利用するなら、個人情報を入力することによって手軽に予約できるという利点があるが、そうでなければ、あまり積極的に会員登録する気になれない。もし会員登録するとしたら、地方在住で、都会に出るための最も便利な交通手段が高速バスである場合だろう。
もう一つの選択肢はコンビニ発券である。これは、コンビニで端末を操作して新規に予約するのと、バス会社の予約センターに電話して予約し、コンビニの端末で発券するのと二通りある。ローソンとファミリーマートで、JTBのサービスを利用する。これは、従来の旅行代理店での発券機能をコンビニ端末で実現したものである。店頭で現金で払うことも可能だが、端末上でクレジットカードで払うことも可能である。予約に必要な情報は氏名と電話番号だけであり、発券に必要な情報は、予約時に伝えられた予約番号と、予約時に伝えた電話番号だけである。バスの予約なら、これくらい手軽であってほしい。電話で予約して発券する際、収納代行扱いで代金を払うという選択肢もあるが、この場合にはクレジットカードを利用できないので、敢えて収納代行扱いにする理由がない。どうせコンビニの端末で予約もできるのなら、思い立ったときにコンビニに行って予約と発券の両方を済ませるのが簡単だが、思い立ったときにすぐに電話で予約できるのは手軽だし、キャンセルの可能性を考慮して予約してから発券するまで間を置きたいときには先に電話で予約する方が便利である。ただし、電話予約は、予約センターの受付時間内でしかできないので、それ以外の時間帯ならコンビニ端末で予約せざるを得ない。コンビニの端末では、予約だけして発券しないことはできない。また、JTB扱いで発券すると、バス会社でもコンビニでも変更や払い戻しができない。「JTBHTA販売センター」という所に問い合わせる必要がある。
一昔前だと、旅行代理店で発券するしか選択肢がなかった。しかし旅行代理店の店舗数はさほど多くないし、営業時間も限られている。特に週末に営業している店が少ない。しかも、最近はインターネット上の予約・決済にシフトしているので店舗数も減少傾向にある。そこでJTBはコンビニ発券に活路を見出した次第である。これなら店舗数が多いし営業時間も長いし、簡単な操作で発券できるし、しかもクレジットカードで決済できるので、利用者にとっては便利である。JTB にとっては、旅行代理店による発券業務を独占できるという大きなメリットがある。
現状では、電話で予約して、コンビニでJTB扱いで発券するのが一番手軽だろう。しかし、本当にそれでよいのだろうか。もっと便利にできないものだろうか。そもそも、バスに乗るときに車内で発券できるのがファーストベストだろう。飛行機の本人確認では決済に使用したクレジットカードを用いるのだから、バスにクレジットカードの読み取り機と通信機能を塔載すれば同じことができるはずである。それに、予約無しで乗る場合でも、その場でクレジットカードで支払うことができる。高速バスといっても、予約の必要な路線では運賃が数千円するので、クレジットカード決済が中心であってよいはずである。通信回線は携帯電話のものでよいだろうし、あとは端末を小型化できればよいのではないか。携帯電話では信頼性が足りないということなら、高速道路や主要国道に通信回線を敷設してバス停付近にPHSの基地局を設置するというのはどうだろうか。至近距離で通信するなら電波強度が弱くてもノイズが少ないし、したがってロジックも比較的シンプルでよい。高速道路のバスストップにも、クレジットカード決済専用の券売機があってよい。PHSの基地局も兼ねて、バスの車載器と通信できるようにすればよい。携帯電話に乗車票を表示するというのも、実は携帯電話端末を券売機として用いるものだが、唯一の弱点は、画面表示が確かなものであるというお墨つきを与えるために、個人情報を多く入力する必要があるということである。最初からバス会社の端末を用いれば、本人確認の手間が大幅に省ける。
現に、JRでは大都市近郊の無人駅に簡易Suica端末が設置されている。これを高速バスにも応用すればよい。予約が必要な場合には、JALやANAのように、予約情報をICカードと対応づけて、ICカードをかざすことで本人確認と運賃の引き落としが行われるようにすればよいだろう。Suicaのシステムを応用するなら、まずはJRバスから導入してはどうだろうか。Suicaと個人との対応づけはSuicaポイントシステムのものを応用し、ICカードをかざすことで改札を行うシステムはJAL とANAのものを応用し、簡易端末はJRのものを応用すればよいので、既存の技術の組み合わせだけで実現できる。
唯一気がかりなのは、バスは参入退出が容易なので、路線や停留所が廃止されると、端末も撤去しなければならないことである。しかし、これも小型化してバス停の標識の中に収まる程度にすれば、バス停を撤去するのと同じくらいの手間で済む。そして、機器を汎用化標準化して再利用しやすいようにすればよい。そういう点でも、既存の技術を使い回すことが望ましい。